会社設立登記

会社設立登記手続の流れ(株式会社の場合)

設立希望日の確認➙法人形態の確定➙設立チェックリストの事前ファックス(メール)

 

➙スケジューリング・具体的内容の打合せ➙商号調査・会社内容の確定➙会社実印作成・印鑑証明書取得・資本金払込

 

➙捺印書類作成➙捺印・必要書類原本の預かり・登記費用の精算➙定款認証➙設立登記申請➙登記完了・書類お渡し

設立希望日の確認

・至急会社を設立したいと言う相談があっても注意が必要。

・印鑑は間に合うのか、捺印はできるのか、資本金の払込はなど、依頼された期間に登記可能かどうかの検討が必要。

法人形態の確定

・最も多いのは株式会社だが、合同会社も増えており、それに次ぐのが一般社団法人である。

・株式会社は最低資本金規制が撤廃され、取締役が一人でも設立可能となった。

・合同会社は定款認証不要で役員の任期もなく決算公告義務もないことから経営コストが抑えられる。

・一般社団法人は会社と同様の収益事業も可能だが、剰余金の分配ができないのが特徴。

ただし、大多数の中小企業が剰余金の分配を行わず、役員報酬として支給していることを考えれば、会社と変わらない収益事業を行うことが可能。

・合資会社・合名会社は無限責任社員を要し、最低資本金規制がなくなったためメリットがない。

 

   株式会社 合同会社 一般社団法人

登録免許税の

最低額

15万円 6万円 6万円

設立時の

定款認証の要否

必要

(認証手数料5万円)

不要

必要

(認証手数料5万円)

設立者 発起人1人以上 社員1人以上

社員2人以上

(設立後は1人でもよい)

利益配分の比率 出資額に比例した配分

 出資額の多寡に関係なく

自由な配分が可能

 利益配分不可能

(役員報酬は可)

機関設計の自由

株主総会と取締役

1人が最低限必要

特に制約なし

社員総会と理事1人

が最低限必要

議決権

原則として株式数

に応じて

原則として1社員1議決権 原則として1社員1議決権
決算公告の義務 必要 不要 必要

役員(社員)

の任期の有無

原則:取締役2年

   監査役4年

(非公開会社の場合は最長10年

 まで伸長可)

なし

原則:理事2年

   幹事4年

(伸長不可、幹事は2年まで

 短縮可)

代表者 代表取締役 代表社員 代表理事
認知度 高い 低い 低い

設立チェックリストの事前ファックス(メール)

・事務所でチェックリストリストを作り事前ファックスなどで記入してもらい、その後に打ち合わせすれば効率的。

 

・商号、本店所在地、目的、株式譲渡制限の有無、機関設計、取締役・代表取締役・監査役等の氏名・住所・生年月日等、取締役の任期等、役員の任期、資本金、公告方法、発行する株式数・発行金額、発行可能株式数、株券発行の有無、事業年度

発起人の氏名・住所等、設立希望日など。

スケジューリング・具体的内容の打合せ

・スケジュール表を作成する

・設立チェックリストを元に具体的内容を決めていく

商号

①使用できる文字(商業登記規則50条、平成14年法務省告示315号)

・漢字、ひらがな、カタカナ

・ローマ字(大文字、小文字)

・アラビア数字

・アンパサンド(&)アポストロフィー( ’ )コンマ( ,  )ハイフン( - )ピリオド( . )中点( ・ )

 

②使用が強制される文字(会社法6条2項)

・株式会社、合同会社、合名会社。合資会社の別

 

③使用が禁止される文字

・支部、出張所、支社、支店 ☓使用できない

・銀行、信託、保険     ☓使用できない

・代理店、特約店      ◯使用できる

 

④同一商号の禁止

・既存の会社と同一の所在地に同一の商号の会社の設立はできない

 

⑤不正目的の商号

・不正な目的で他社と誤認されるおそれがある場合、損害賠償請求や差止請求などが提起される恐れがある

 

本店所在地

・定款に記載すべき本店所在地は、最小業績区画である市町村まで記載すれば足りる。

・登記上はそれ以下も表示されるため、正確に聴き取る。

・賃貸契約書などのハイフンを使った省略形式ではない正確な住居表示を役所などに問い合わせるなど。

目的

・現在の事業のみではなく、将来の事業も記載する

・多すぎると不明確になるため、簡潔かつ漏れなく記載する

・クライアントに案を見せて確認、修正をする

株式譲渡制限規定

・「株主総会」「取締役会」「代表取締役」「取締役の過半数の同意」「当会社の承認を要する」など

・定款に承認機関を定めなければ、取締役会設置会社では取締役会、取締役会非設置会社では株主総会が承認機関となる

機関構成

・取締役(+監査役)(+会計監査役)

・取締役会+監査役(+会計監査役)(+監査役会)

・取締役会+会計参与

・取締役会+委員会+会計監査人

役員の氏名・住所 役員の数

・住民票、印鑑証明書等で正確に記載する

・取締役会設置会社では3名以上必要

取締役の任期

・取締役の任期は2年以下に短縮でき、非公開会社では10年まで延長できる

・任期を延長すると、2年ごとの変更登記が不要となりコストは安くなるが、役員の変更が難しくなる。

資本金

・資本金は1円から設立可能だが、多いほうが信用力はある

・資本金を1,000万円以上にすると、設立1年目から消費税の課税事業者となってしまう

公告方法

・官報、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙、電子公告のいずれか

・決算公告は官報および日刊新聞ではその要旨の公告で足りるが、電子公告では貸借対照表の全文の公告が必要

 

発行可能株式総数 発行する株式数 発行金額

・発行金額は規定がないが、旧商法時代に1株5万円だったことに倣い、5万円としたり、単純に1万円とすることが多い

・公開会社では、発行可能株式数は発行株式数の4倍を超えることができない

・非公開会社には制限はないが、発行株式数の10倍などと設定する事が多い

事業年度

・資本金との関係で免税事業者となったら、最大2期消費税が免除されるため、2期を最長にするように設定することもある

・10月設立であれば9月を決算月とすれば、期間を最長にできる

 

設立日

・申請した日が設立日になる

・クライアントが希望した場合、取り下げにより実現できなくなることを避ける

登記完了後に取得する謄本等の通数

・申請どおりの登記がなされているかの確認のため、登記事項証明書、印鑑証明書を1通ずつ取得

・クライアントが税務署や金融機関に提出するため複数必要な場合、取得数を聴き取っておく。

・取得報酬の説明もしておいたほうが良い

商号調査・会社内容の確定

・登記情報提供サービスのキーワード検索、または法務局の商号調査端末で類似または同一商号の調査

・特許庁の商標出願・登録情報の検索により商標登録されていないかもチェックしてもいい

会社実印作成・印鑑証明書取得・資本金の払込

・設立登記申請に間に合うように、会社実印の作成を依頼する。

・間に合わない場合は、個人実印などで代用し、あとで変更することもできる

・発起人や役員の印鑑証明書(複数あったほうが良い)を準備してもらいファックスなどで情報を取得して正確な住所氏名を把握

・資本金の払込は原則として定款認証後だが、発起人の同意により出資金額を定めたあと、または定款作成後であれば認  証前の払込も有効

・通帳の表紙と払込のあったページを印鑑証明書と合わせてファックスやメールで送ってもらう

捺印書類作成

・印鑑証明書のデータ、振込通帳コピーなどを入手したら、捺印書類を作成する

・印影がうまく出なかった場合に備えて、また登記申請用と会社保存用として各書類を2部ずつ作成するとよい

 

捺印・必要書類原本の預かり・登記費用の精算

・書類に会社実印、個人実印をもらう

・準備してもらった印鑑証明書などを受領

・この後、定款認証・登記申請のため実費がかかるため、登記費用を精算する

定款認証

・電子定款認証により4万円の収入印紙が不要となる

・クライアントから定款作成委任状および印鑑証明書をもらい公証役場へ行って定款を受領する

・定款受領の日当や旅費の説明をしておく

・クライアント自身に公証役場へご足労願う場合もあり、事前打ち合わせ必要

 

定款認証の手続の流れ

①認証日前に、電子定款作成の委任状、定款、発起人の印鑑証明書を公証役場へファックスして内容を確認してもらう

②定款認証日当日、オンラインで電子署名を行った定款を公証役場へ送信

③認証終了の連絡を受けたら、電子定款作成委任状(定款を合綴したもの)発起人の印鑑証明書、定款認証手数料(5万円)同一情報所得費用(2部で2,000円~3,000円程度)を窓口で提出し、認証後の定款データ、書面による同一情報を受領

*定款データはCD-Rなどで渡されるが、媒体を用意してくれるところと準備が必要なところがある

設立登記申請

・定款認証が終わったら、登記申請日を待つのみ

・間違いがないように最終確認を行う

登記完了・書類のお渡し

・申請後1週間から10日ほどで完了

・印鑑カードの交付申請をし、打合せ時に確認した通数の登記事項証明書、印鑑証明書を取得し、会社保存用の書類とともに

 クライアントにお渡しする