· 

破産手続

破産手続の概要

1 支払不能又は債務超過にある債務者(手続開始原因)

(1)支払不能(個人)

・債務総額が可処分所得の36倍又は手取り年収の1.5倍を超えているなど

(2)債務超過(会社)

・その財産をもって完済することができない状態

(3)破産手続開始原因

・債務者が支払不能にあるときは、裁判所は申立てにより、決定で破産手続を開始する

 

2 債務者の財産等の適切かつ公平な清算

(1)債務者の権利行使の制限

・破産者は破産手続開始後は破産財団に属する財産に関して行使した法律行為は破産手続に関して効力をもたない

(2)債権者の権利行使の制限

・債権者は破産手続によらなければ、その権利を行使できない(個別執行の禁止)

(3)破産財団の形成

・破産者の財産等であって、破産管財人にその管理及び処分する権利が帰属するもの

(4)否認権の行使

・否認権を行使により、破産財団は現状に復する

 

3 債務者について経済生活の再生の機会の確保を図る(免責)

・免責許可の決定が確定した時は、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる

・責任を逃れた債務は自然債務化し、裁判上の請求ができなくなる

 

破産手続の流れ

1 破産手続開始申立

(1)破産能力

①個人

②法人

③相続財産

(2)申立権者

①債務者

②債権者

③法人の理事・取締役等

(3)管轄

①個人→営業所・住居所

②法人→営業所・事務所

 

2 破産手続開始決定

①破産手続開始の原因

個人:支払不能、支払停止

法人:支払不能、支払停止、債務超過

②破産者の義務・制限

ⅰ居住制限

ⅱ説明義務

ⅲ財産開示義務

ⅳ郵便物の管財人への転送

3 破産管財人選任 破産財団形成 破産債権調査

①破産管財人の役割

・債権者のために配当の基礎となる財団を形成したり債権者の範囲、債権額を確定するなど

・債務者のために免責に関する意見陳述をする

②自由財産

・破産手続開始後に得た財産

・法律上の自由財産

・裁量に基づく自由財産

 

4 配当 破産手続終了

①配当の順位

ⅰ優先的破産債権(一般先取特権等)

ⅱ一般破産債権

ⅲ劣後的破産債権

ⅳ劣後的約定破産債権

②財団債権

・破産手続の共益費

・管財人の報酬

 

5 免責決定・復権

①免責の申立権者

・個人のみ(法人は破産手続終了により消滅)

②免責不許可事由

ⅰ不当な破産財団価値減少行為

ⅱ不当な債務負担行為

ⅲ不当な偏頗行為

ⅳ浪費または射幸行為

ⅴ詐術による信用取引

ⅵ調査協力義務違反

ⅶ7年以内の免責取得等

③非免責債権

ⅰ税金

ⅱ悪意の不法行為による損害賠償債権

ⅲ身体・生命にたいする不法行為による損害賠償債権

 

6 同時廃止

・破産手続開始決定と同時に破産手続終了する

・個人の場合、大半が同時廃止となる