民事再生手続の概要
(1)破産手続との相違
・債務者の財産処分を行わず、債務者が返済計画を提出し、その返済計画に従って返済することで債務を整理する手続
(再建型)
・財産処分を行わない点及び一定額を返済する点において、破産手続き、特別清算手続き(清算型)と異なる
(2)民事再生法の体系
①通常再生
②個人再生(少規模個人再生と給与所得者等再生)
・消費者・個人事業者を対象に、通常再生より簡易な方法で再建を図る
個人再生手続きの概要
(1)個人再生法の体系
①少規模個人再生
②給与所得者等再生
・少規模個人再生よりもさらに簡便な方法を定める
(2)手続き開始原因、要件
・破産手続き開始原因となる事実の生じる恐れがあること
+
要件
*少規模個人再生
①個人である債務者
②再生債権の総額が5,000万円を超えない*
③将来において反復継続して収入を見込める
*給与所得者等再生手続
①個人である債務者
②再生債権の総額が5,000万円を超えない*
③給与又はこれに類する収入が見込める
④収入の変動幅が少ない
*債権の総額から、住宅ローン債権額や別除権の行使(担保権の行使によって弁済)によって弁済を受けることができると見込まれる債権額は除くことができる
(3)再生手続の効果
・要件を充足し、再生手続き開始決定され、再生計画が認可されると、再生計画により再生債権に対して権利変更の効力が生じる。
*例外
①悪意による不法行為による損害賠償請求権
②故意過失に基づく身体・生命を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
③夫婦間の協力扶助義務などの家族関係の請求権
住宅資金貸付債権に関する特則
①概要
・本来、住宅ローン債権も再生計画により変更され、債権者は抵当権の実行を行うため、債務者は不動産を失う
・住宅資金特別条項を定めた再生計画を提出することで、住宅ローン債権は計画の影響を受けず、家を残すことができる
②適用条件
ⅰ住宅資金貸付債権であること
ⅱ他の担保権がないこと
・ある場合は抹消してから申請する
個人再生手続きの流れ
1 再生手続開始申立
①申立権者
・個人債務者のみ
②管轄
・住居地
③特則の陳述
・少規模個人再生か給与所得者等再生か
・住宅資金特別条項を定めるか
2 再生手続開始決定
①開始の条件
ⅰ費用の予納
ⅱ一般の利益に適合
ⅲ再生計画の認可の見込み
ⅳ不当な目的でないこと
②開始決定時に決められること
ⅰ債権届出期間
ⅱ一般異議申述期間
ⅲ再生計画案の提出期間
ⅳ報告書提出期限
3 債権調査・財産調査
①債権届出
・みなし届出
②債権確定
③財産報告
4 再生計画案の提出
①弁済方法
ⅰ3ヶ月に一回以上の分割払い
ⅱ原則3年の弁済期間(例外5年)
②計画弁済総額
ⅰ最低弁済額
・5分の1から10分の1ぐらい
ⅱ清算価値保証
・破産手続きによる配当額を上回ることが保証される必要がある
ⅲ可処分所得基準
③非免責債権
5 個人再生手続認可手続
①少規模個人再生
・債権者の書面決議により、議決権数の半数以上であり、その議決権債権額が総額の半分以上で可決される
②給与所得者等再生
・意見聴取を行う(債権者の決議不要)
6 認可決定の確定・支払再開
・効力:認可により再生債権に変更される