延納とは
(1)延納とは
相続税を一時に支払うことができない事情がある場合、一時に支払うことができない金額を限度として、担保を提供することにより、年賦により支払うことができる制度である。
この場合利子税の納付が必要になる。
(2)延納の要件
①相続税が10万円を超えること
②金銭納付に困難な事情があり、かつその困難な金額の範囲内であること
③担保の提供(ただし、延納税額が100万円以下で3年以下の延納期間の場合は不要)
(3)担保の種類
①国債、地方債
②社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
③土地
④建物、土地、登記される船舶などで保険に附したもの
⑤鉄道財団、工場財団
➅税務署長が確実と認める保証人の保証
延納期間及び延滞利子税
1.延納の計算手順
(1)不動産等の価格の占める割合を求める
(2)森林計画立木、特別緑地保全地区等内土地および立木の価格の占める割合を求める
(3)(1)(2)から最長延納期間及び利子税の割合を計算する
(4)(3)から延納期間の分割税額を求める
(5)利子税を求める
2.不動産等の価格の占める割合
不動産の価格÷課税相続財産の価格で求める
*不動産等とは
①不動産
②不動産上の権利
③立木
④事業用の減価償却資産
⑤特定同族会社の発行する株式又は出資
*課税相続財産とは
相続または遺贈により取得した積極財産の合計をいう
3.最長延納期間
(1)不動産等の割合が75%以上の場合
不動産等→20年
動産等 →10年
森林等 →20年(特定森林は40年)ただし森林等の割合が20%を超えていることが必要
(2)不動産等の割合が50%以上75%未満の場合
不動産等→15年
動産等 →10年
森林等 →20年(特定森林は40年)ただし森林等の割合が20%を超えていることが必要
(3)不動産等の割合が50%未満の場合
全て →5年
*延滞税額からの延納期間の制限
延納額が次の金額未満の場合には、延納税額を10万円で割った年数が限度となる
最長延納期間=延納税額÷10万円
①200万円(特定森林は400万円)
②150万円(森林は200万円、特定森林は400万円)
③50万円
4.利子税の割合
(1)不動産等の割合が50%以上の場合
動産等 →年5.4%
不動産等→年3.6%
森林等 →年1.2%
(2)不動産等の割合が50%未満
動産等 →年6.0%
不動産等→年6.0%
森林等 →年1.2%
*特別緑地保全地区内の土地→年4.2%
*立木の割合が30%を超える場合の立木→年4.8%
(注)各年の延納特例基準割合が年7.3%未満の場合、利子率は以下の計算で修正する
上記利子率×(延納特例基準割合÷年7.3%)