農業経営基盤強化促進法とは
国民生活の安定、経済発展のため、効率的かつ安定的な農業経営の確立が求められる。
そのために意欲のある経営者に農用地の利用集積を進め、経営管理の合理化その他、農業経営基盤を強化するために制定された法律である。
農業経営基盤強化促進法による利用権設定
農業経営基盤の強化のための施策として、農地の貸し借りを容易にし、経営規模拡大などの要請に応える事ができるように、農業委員会が調整することにより、賃借権などの利用権を設定できるようにした。(15条、16条)
(1)手順
1.農業委員会の決定を経た農用地利用集積計画の作成(18条)
①農家や認定農業者が農地を売りたい、貸したいまたは買いたい、売りたいという申し出を農業委員会等に申し出る。
②農業委員会は市町村に農地利用集積計画の作成を依頼する
③農地利用改善団体や、農業協同組合、土地改良区などは農地利用集積計画の作成申し出ができる
2.公告(19条)
3.利用権設定の効果発生(20条)
(2)農地利用集積計画の要件
①計画の内容が市町村の基本計画に合致すること
②利用権の設定等を受けるものが以下の条件に合致すること
ア 農用地の全てを効率的に耕作すること
イ 農作業に常時従事すること
ウ 農作業に常時従事できない場合は、役割分担や、法人の役員の従事などの条件がある
③利用権を設定する土地について、関係者全員の同意があること
ただし共有の土地に5年以内の利用権を設定する場合には過半数の同意で足りる
(3)メリット
利用権の設定をするには、農地法3条の許可を受ける方法もある中、農業経営基盤強化促進法による利用権の設定にはメリットがいろいろ存在する。
①税制上の特例
譲渡者の所得税の特別控除や、不動産取得税の軽減、登録免許税の軽減などがある
②法定更新がない
期間が来れば、利用権は消滅するため、安心して貸し出すことができる
ただし、利用権の再設定は可能
③農業委員会の調整
借り手、買い手は多数の権利者と交渉する必要がなく、農業委員会が調整してくれる
④農地法の適用除外
利用権設定に農業委員会、知事の許可は不要である
農地転用、転用のための移転に知事、大臣の許可は不要