株主リストの添付を要する場合について
「株主リスト」については、商業登記規則第61条第3項で、「登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合・・・・添付しなければならない。」旨が規定されている。
そこで以下の事例では「株主リスト」の添付が必要であるか不要であるかの検討をする。
1 役員の任期満了を証する定時株主総会の「計算書類の承認」に関する議題に係る株主リスト(不要)
定時株主総会の終了の時が役員の任期満了時の基準であり、定時株主総会であることの要件として、議題に「計算書類の承認(報告)」が含まれていることが必要であることから問題となる。
しかし、決議内容は「計算書類の承認」であり、当該決議により役員の任期満了という「登記すべき事項」が生じたわけではない。
従って、任期満了による役員の退任登記を申請する場合に、「計算書類の承認」決議についての株主リストの添付は不要である。
2 清算結了に際し株主総会において決算報告の「承認」を受ける場合(必要)
株式会社の清算の結了時期は、「会社法第507条第3項の規定による決算報告の承認があった時」であり、当該承認決議は清算の結了の要件のひとつといえる。
商業登記法第75条は「清算結了の登記の申請書には、会社法第507条第3項の規定による決算報告の承認があったことを証する書面を添付しなければならない。」と規定しており、清算結了という「登記すべき事項」につき株主総会決議を要する場合であることを前提にしている。
よって、株主リストの添付を必要とする。
3 株主総会において役員の人気を短縮する定款変更に伴い当該役員が任期満了となる場合(不要)
株主総会で役員の人気を短縮する定款変更決議により役員のが任期満了となり、退任登記には株主総会議事録を添付する必要がある。
しかし、株主総会決議はあくまでも定款変更を目的としており、株主総会議事録の添付は役員の退任時期を証明するためであって、「登記すべき事項につき株主総会の決議を要する」という理由で添付するわけではないので、株主リストの添付は不要である。
4 いわゆる会計監査人の自動再任の場合(不要)
会社法第338条第2項は「会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。」とある。
再任されたものとみなすのであって、再任の決議があったものとみなすわけではない。
従って、「登記すべき事項につき株主総会決議を要する場合」ではなく、株主リストの添付は不要である。