· 

農地の権利変更と許可

農地法の許可(届出)と要件

許可区分 内容 許可権者
 3条許可  農地のまま権利を移転・設定 農業委員会
4条許可 農地を農地以外に転用 都道府県知事または指定市町村長
4条届出

上記において農地が都市計画法の

市街化区域内にある場合

農業委員会
5条許可

農地を農地以外に転用し、権利を

移転・設定

都道府県知事または指定市町村長
5条届出

上記において農地が都市計画法の

市街化区域内にある場合

農業委員会

 

(1)都市計画法と農地法との関係性

都市計画法に基づいて「市街化区域」と「市街化調整区域」に線引がされている場合、「市街化区域」の農地の転用には許可制ではなく、届出性が取られている。

「市街化区域」は農地が転用される可能性が高く、それを是認している地域と言えるからである。

 

(2)許可と届出の効力発生日

①許可の効力:許可書が到達した日が効力発生日となる

②届出の効力:届出をした日が効力発生日となる

 

(3)農地の賃借権の保護

①賃貸借の期間が上限50年

②引き渡しによる対抗要件の付与

賃借権の登記がなくても対抗力がある

③法定更新制度

更新拒絶の通知には都道府県知事の許可が必要

④解約等の制限

事前に都道府県知事の許可が必要

 

農業経営基盤強化促進法に基づく権利変動

1.概要

農地法の特別法であり、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、それが農業構造の中核を担うようにすることを目的としている。

次のような制度を設けている

①意欲の高い農業者育成のための「認定農業者制度」

②農地所有者が安心して意欲のある農業者に農地を貸し出せる「利用権設定等促進事業」

③認定農業者への農地の集積をめざした「農地利用集積円滑化事業」

 

2.農地法3条許可との相違点

対象農地:農業振興地域内の農用地

対象者:農地利用集積計画の要件を満たした者

賃貸借期間終了後の措置:期間満了により当然に終了

所有権移転登記:市町村の嘱託登記

登録免許税:0.08%(租税特別措置法77条)

 

農地中間管理事業推進法による権利設定

平成25年時点で全農地の5割しか利用されていないため、8割利用を実現する農業構造を目指して、農地中間管理事業推進法に基づいて、「農地中間管理機構(通称 農地集積バンク)が設立された。

 農地中間管理機構は、各都道府県に一つ設立され、次の役割を担う。

 

①地域内に分散し、錯綜した農地利用を集約し、担い手ごとに集約化する必要がある場合、耕作放棄地等を農地中間管理機構が借り受ける。

農地中間管理機構は、必要なばあい、圃場整備(農地の区画整理)等の条件整備を行い、担い手(法人経営、大規模家族経営、集落営農、企業)がまとまりのある形で農地を利用できるよう配慮して、貸し付ける。

農地中間管理機構は、当該農地について、農地としての管理を行う

農地中間管理機構は、その業務の一部を市町村に委託し、農地中間管理機構を中心として関係者の総力を挙げて、農地集積、耕作放棄地解消を目指す。