概要
公開買付けとは、ある会社の株式や資本性証券を「買付け期間・買取株式数・価格」を公告し、不特定多数の株主等から、株式市場の外で買い付ける制度である。
TOB(Take-over bit)と呼ばれることが多い。
公開買付の目的は、経営権を取得し、企業買収や子会社化することである他、自己株式を買うためにも行われる。
日本の公開買付け
1 概要
〈強制公開買付制度〉
金融商品取引法により、一定の場合には公開買付けを義務付ける、強制公開買付制度が取られている。
金融商品取引法第27条の2により、有価証券報告書の提出義務のある株式会社等の「株式等」を発行者以外のものが市場外で一定数以上の「買付等」をする場合などには、公開買付けを義務付けている。
実施主体により「発行者による上場株券等の公開買付」「非発行者による株式等の公開買付」に分かれる。
〈強制の趣旨〉
経営権の移譲に関する情報開示、株主平等の原則、コントロール・プエミアムの平等分配
2 強制的公開買付
以下の場合には公開買付けが強制される
1.5%基準
60日間に11名以上から、市場外で買い付けし、株券所有割合が5%を超える場合
2.3分の1ルール
①60日間に10名以内のものから市場外買付けをし、株券等所有割合が3分の1を超える場合
②市場内の取引の内、オークション以外の方法により買付け等を行い、株券等所有割合が3分の1を超える場合
③市場内外の取引を合わせて「急速な買付け」で株券等所有割合が3分の1を超える場合
3.他社のTOBの最中に、大株主が「急速な買増し」をする場合
4.買付け者の特別関係者による「急速な買い増し」で買付け者による「急速な買い増し」と同視できる場合
3 手続
1.公開買付開始公告
2.公開買付届出書の提出
買付け条件等を記載した書類及び内閣府令で定める添付書類(公開買付届出書)を提出する
3.公開買付期間
公開買付公告から実際の買付けまでの期間は20日以上で60日以内でなければならない
4.公開買付対象者による意見表明報告書の提出
公開買付の対象となった株式等の発行者は、公開買付開始公告から10日以内に、公開買付に対する意見表明報告書を提出しなければならない
5.公開買付け者による公開買付けの撤回・解除
公告後は以下の事由が生じたときのみ撤回できる
①対象株式等の発行会社又は子会社の業務・財産に重大な変更または買付け目的の達成に重大な障害が生じた
②公開買付者の破産手続き開始など重要な事情の変更がある時
友好的TOBと敵対的TOB
〈友好的TOB〉
買収される会社の経営陣の賛同を得て行う公開買付けである。
経営陣は株主に買い付けに応じるよう勧告するため、価格が釣り上がらず、株主には不利益が生じる場合がある。
〈敵対的TOB〉
経営陣が買収に反対する公開買付けを言う。
経営陣は株主に買い付けに応じないように勧告するため、買付け価格が上昇する。